こんにちは。技術フェローの山本です。RED HAT FORUM TOKYO 2017 に参加しました。 新幹線で東京駅まで朝早く行き、朝満員の山手線に乗り、大分体力を奪われましたが来て良かったです。
ゼネラルセッション
米国レッドハット社長兼CEOジム・ホワイトハースト氏から度々出てきたのが「ディスラプション」。破壊的イノベーションということ。既存の市場を破壊するということ。我々の市場が破壊されるということを意識すること。これがデジタル化によりサイクルがどんどん早くなっている。
従来のビジネスを継続するだけでは破壊されてしまうので、変化して破壊する側「ディスラプラター」になろう。レッドハットにはそれを手助けする商品・サービスがそろっている。
業績の高い企業は低い企業より200倍デプロイしている。テクノロジー投資をシフトして、より良く、より早くアプリケーションやサービスをデプロイする必要がある。方法は1つだけではなく、コンテナーであったりAIであったり道は沢山ある。
レッドハットのビジョン
ビジネスに必要なのはテクノロジーだけではない。次の3つを重視している。
- カルチャー
- プロセス
- テクノロジー
特にカルチャーを非常に重要視している。オープンソース・コミュニティ・協業・透明性。10年前はみんなビジネスでどれも重要視していなかったが、今は当たり前になった。
オープンソースはもはや当たり前となり、レッドハットの製品開発はコミュニティから生まれている。
これからどうしていくか?
プロセスの変化と改善。アジャイル・継続・反復・自動化。
クローズドなプロプライエタリなシステムはもはや流行らない。いかにオープンで分散されたシステムを構築するかがポイント。100%パブリッククラウドに移行するのは不可能。複数のクラウドベンダーを使うのが当たり前となっているので、クラウドベンダーにロックインされないオープンなシステムが重要。
デジタルトランスフォーメーション
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ冨安 寛 氏に変わって、NTTDATAにおいて2016年度のシステム開発はクラウド利用は3%のみに留まった。ただし、金融業界は2015年度より2016年度はクラウドシフトが明確で7倍になっている。
AWSの利用額は2014年度から毎年160%増えている。日本の平均では180%ぐらいなので、ほぼほぼ同じ推移で増えている。
NTTデータが考えるデジタルトランスフォーメーションの3つのストリーム
- さらなる生産性向上
- デジタル融合
- 新規ビジネス創出
1.生産性向上
自動化を2010年代からずっと行っている。開発環境をOpenStackとPuppetを使用してボタン1つでクラウドにデプロイ出来るようにしている。今までアプリケーションの自動化に留まっていたが、ハードやミドルウェアも含めてすべて自動化できるようになった。コストは半減、期間も短縮。VMの数は16000を超えている。
2.デジタル融合
トラディショナルなシステムとデジタルなシステムの融合。
デジタルと融合するためにはシステム全体のリファクタリングが必要。オンプレミスでそのまま。リフト&シフトで動かす。新しく作るの3つにわける。
3.新規ビジネス創出
ちょっと聞き逃したかも。上記2つを組み合わせて新規ビジネス創出していくという話だったと思う。
今後について
これらを組み合わせてオフショア先の中国で開発を行う。世界各国でオフショアを行っており、50ヶ国を超えるグロバールで開発を行っている。
DELL、REDHAT、NTTDATAと3社協同でオープンスタックを継続して取り組むと共に、2018年度にはOpenShiftを使ってコンテナ環境をミッションクリティカルシステムでも使えるように展開していく。
TOMORROW IS ABOUT MORE THAN TECHNOLOGY
米国レッドハット ポール・コーミア 氏より、レッドハットはプロセス、カルチャー、コラボレーションの3つを重視している。
REDHATはOSSに対してもう16年取り組んでいる。当初は色々な会社に無視されていたが、今はあらゆる場所で利用される主流となっている。
オープンソースは単なるコードではない。カルチャーから変えなければならない。企業であれば企業文化を変えなければならない。プロセスも変える必要がある。プロセスは自動化で改善ができる。
オープンであれば「このソースを壊してみてよ」と気軽に言えるように。壊してからまた良いものが生まれる。
レッドハットではすべてそろっている。レッドハットではDNAに刻み込まれている。これらが良いソフトウェアを作るために必要だと信じている。
自社のビジネスプロセスを変える前に現状を把握すること。プロセス改善こそROI向上の鍵。
レッドハットのテクノロジービジョンはオープンかつハイブリッドなクラウド。62%以上の組織はマルチクラウドを考えている。
ブレイクアウトセッション
ジェネラルセッションは以上でお昼を挟んで、午後はブレイクアウトセッションがありました。。
CT01【事例】NRIにおける金融システムへのOpenShift導入事例
NRIではDocker Swarm, Kubernetes, OpenShift, Pivotal CloudFoundry, AWS Elastic Beanstalkをすべて比較検討して、OpenShiftを採用した。ただし、金融要件の対応は別途必要。
金融要件への対応
OpenShiftではfuluentdをデフォルトで使用しているので、それを利用する。OpenShift管理サーバーを別途監視サーバーで監視する。バッチジョブはコンテナを別途監視サーバーを使用する。
アーキテクチャ
開発環境はOpenShiftをon AWSで動かしている。DBもOpenShift上で作成。本番環境はNRIのデータセンターにて運用し、DBはMRIで管理しているサーバーを使用する。
CD12 Red Hat OpenStackで実現したDevOps向け開発環境クラウドへの取り組み
NTTコムウェアでは開発環境共用化(DevaaS)に取り組んだ。2010年は開発者が個別にリソースを所有しておりコストや保守の面で問題となった。
約80%のプロジェクトが移行に難色
やり方を変えたくない。今持っている開発環境を捨てるのはもったいない。ミドルウェアが使えない。品質・性能・セキュリティが劣るのでは?
トップダウンによる推進
推進者がトップダウンで利用を促したのと、提供側もコストを年々下げるよう努力した。その結果、2016年には全社の85%以上の開発プロジェクトで利用されるようになった。仮想マシンの提供台数は約5000台。
なぜRedHatOpenStackを使うか?
理由は3つ
- 社内で使用しているサーバーの75%がREDHATであり、トータルでサポートがされるから
- 長期間のサポート
- 認定ハードウェア/ソフトウェアが充実
RedHatOpenStackを実際に使った現場の声
Directorでテンプレートを使うと環境の構成が楽に出来た。トラブル時はREDHATに相談すると親身に対応してくれた。
CD07 ハイブリッド・クラウドでRHEL/OpenShiftをやってみた ~ThinkAgile : Azure Stackのススメ
Azure Stackは常時インターネット接続に繋がる環境で無いと機能が制限され、ライセンスもコアライセンスしか使えなくなる。
OpenShift and Azure Stack ですぐ作れる。2018年春にOpenShiftのWindowsコンテナがサポート.
RHELをAzure Stackで動かして、AzureでOpenShiftを動かす。
Azure StackとAzureをVPNで接続するのに苦労した。
メリットとしてAzure ADで認証を一元化でき、マルチクラウド環境がすぐに作れる。
CT14 DevOps実現のために必要な真のマルチクラウドプラットフォーム
~複数のクラウド間におけるOpenShift/Kubernetesのデータマネジメント~
コンテナのオーケストレーションは何を使うか?代表的なものに、kubernetes, DC/OS, Docker Swarm, Runcher がある。Cloud Native Computing Foundation が調査したところ、kubernetesが半数近く利用されているのでkubernetesが良いのではないか。
実際運用するとkubernetesにはサポートが無いため、OpenShiftを利用すると良い。
コンテナ化した際に問題になるのが永続化ストレージ。その問題を解決するのがNetApp製品。
CD08 サーバー仮想化、クラウド、コンテナ / Kubernetes、マルチクラウドに悩むインフラ管理者とユーザーのための管理プラットフォームとは
ハイブリッドクラウドの優位性を設定する。次の3つ
- 組織で重要視するKPIを決める
- それぞれのインフラの優位性(特性)を把握する
- それぞれのインフラで実現する価値を決める
既存のインフラのSLAに引きずられない。クラウドのSLAに引きずられない。
CloudFormsを使用するとマルチクラウドを管理出来る。さらにAnsible Towerを使うことで自動化することが可能。
DEMO 【ライブデモ】
ある保守的企業のデジタル変革への挑戦 ~ Destinasia Digitally Transforms into the Best-in-Asia
本日一番楽しみにしていたセッション。問題の多かったレガシーソフトをコンテナ化し、JBOSS BRMSなどの製品を使うことで迅速な開発の紹介。OpenShift, CloudForms, Ansibile Tower といったRedhatの製品がデモで出てきてとても良かった。最後はゼネラルセッションと同じ「ディスラプター」になろうで幕を閉じた。
まとめ
OpenShiftを中心としたコンテナ技術を中心にセッションを聞いていましたが、コンテナは既に一般的に使われているもので、今後積極的に使っていきたいと感じました。むしろ、使わない理由がもはや無いとも言えそう。コンテナは単純に使うだけでは管理が煩雑になるので、今後はKubernetesでオーケストレーションしていきたい。さらにエンタープライズ向けにはOpenShiftを採用したいと感じました。